2026年4月 林 世遥さん
フレッシュ会員シリーズ 第1弾!!

今月から“The Voice”は、入会3年未満のフレッシュな会員のご紹介をシリーズ化して行きます。そのトップバッターは、2025年10月に入会された林世遥(はやし はるか)君です。会員番号H-245。所属委員会は会員拡大委員会と広報委員会です。
─ まず自己紹介をお願い致します。
林さん:
都立両国高校を卒業し、一般受験で慶應義塾大学文学部に入学し、2001年に卒業。
2年次から英米文学を専攻し、もともとシェイクスピアやジェーン・オースティンが好きでしたが、ITや近現代社会への関心から、卒論はアメリカ文学のゼミで現代作家のケン・リュウのSFをテーマに選びました。
職歴は、新卒ではITエンジニアを目指しました。大好きな文学を離れて、新卒ではITエンジニアとしてCOBOLを書いてシステム開発・運用を行っていました。自分の周りの同級生の中では珍しい進路だったと思います。
私も初めは、周りの友人と同様に、「大学院や留学も素敵だな」、「出版や新聞、広告業界も素敵だな」、と思っていましたが、そのような文系大学生の憧れとされていた進路・業界は人気が高く競争が激しい一方で、他の業界ではシステム化が急速に進んでおり、社会や個人のビジネスチャンスや成長性を考えると、IT系のキャリアの方が柔軟な選択肢になりうると思い、選んだキャリアでした。
就職してみると、覚悟していましたが、これまでの学生時代に見てきた世界との大きなギャップに戸惑いました。これまで慣れ親しんできた、中世写本の美しい装飾文字や、シェイクスピア劇に出てくるリズミカルな韻を踏んだセリフ、その他諸々の作品中での、情緒あふれる、流れるような文章とは打って変わって、機械言語はやはり非常に無機質で、簡潔で、そんな異質な世界と言語に大きなカルチャーショックを感じました。仕事の中で重視されるのは主に品質と効率性。過去に私が愛した冗長な修飾語、韻やリズム、言語の多義性は、ITエンジニアとしての日々の業務の中では、忌み嫌うべきものとして遠ざけられていました。しかしコンピューターシステムの中はいつも、言語の理解だけでは決して見えてこないような複雑な構造と課題があり、“余分なもの”がそぎ落とされた機械言語の持つ独特の美しさと機能性に、また魅了されました。いつか、人の言葉と機械言語の渡り船のような存在になれたら素敵だなと思い、職場の先輩方にたくさん教わりながら、私にとっての新世界を開拓した時代でした。
その後、コンサルタントに転職しました。システムを守る側から作る側へとキャリアチェンジし、様々な業界のPJに携わる中で、自身の対峙する相手がシステムから人に変わっていきました。IAが発展し、機械言語を操る主体が人からコンピュータへ広がろうとしていく過程で、私の役割はシステムと人との橋渡しから、人同士をつなぐ媒体になっていきました。やはり前職と変わらず、あるいはそれ以上に品質と効率性の重要視されるコンサルティング業務の中で、クライアントのための課題解決という、前職と比べるとある意味でかなり有機的な領域に足を踏み入れているように感じています。先輩方に日々ロジカルシンキングの大切さを説かれるために、簡潔で分かりやすい言葉を話すように自分を矯正していくと、複雑で分かりにくい文学世界の、情感あふれる得体のしれない魅力を懐かしく思いながらも、自分の話せる言葉の種類が増えてきたという新境地での喜びを感じます。社会人5年のキャリアではまだ方向性は定まっていないので、これからまだいろいろな意味で、私のキャリアの大航海時代が待っていると思うと胸が高鳴ります。
─ 次に、塾生時代の思い出をお聞かせください。
林さん: 2年生からお世話になったゼミが一番の思い出です。巽孝之先生のアメリカ文学ゼミに所属し、ゼミ代表を務めさせていただき、大変お世話になりました。大学生が最も大学生らしい期間を過ごすと思われる、2年生から3年生の期間、旅行やサークル、インターンなどを頑張る同級生を横目に、私の長期休みの一番の連絡・相談相手は巽先生で、いかにゼミが当時の私の生活の中心だったのかが思い出されます。授業の準備や課題の相談、合宿の企画、ゼミで作成している文芸誌の編集活動、先生の研究室でのお手伝いなど、様々な活動をお手伝いさせていただきました。巽先生も私を頼りにしてくださるので、通常は一人一つの役割になるところを、いつの間にかゼミ代表の他に合宿企画係、OGOB会企画係、ゼミ発行の文芸誌編集係等の役割を兼任し、30年余りの歴代で最もゼミのために貢献したゼミ生と先生にお褒めいただいたことがとても嬉しかったです。先生とのゼミ生活をAmerican slave narrativesになぞらえて、ゼミで発行している“Panic Americana”という文芸誌にて、『ゼミ代奴隷体験記』と題して執筆したところ、さすがに『奴隷』という表現はよろしくないということで、『ゼミ代奉公体験記』に修正して出版したのは、今でも心に残る楽しい思い出の一つです
─ 当倶楽部へのご入会のきっかけは?
林さん: 以前から参加していた港区三田会でお世話になった先輩を通じて東京三田倶楽部を知りました。福澤先生の理念を引き継いで、塾員同士の利害を超えた交友関係、各会員の独立自尊のもと社会をよくしていきたいという思いで運営されている当俱楽部を大変魅力に感じて入会しました。様々な場所で活躍されている先輩方に良い刺激をたくさんいただいており、このような機会をいただいた慶應義塾に感謝しております。
─ ご趣味、特技は?
林さん: 最近は、妹と休日にバドミントンをしています。以前、会社のサークルで少しやったことがありましたが、これからもっと練習して上手になりたいと思います。
─ 最後に、座右の銘なり、ご信条、好きな言葉等を教えてください。
林さん: シェイクスピアの、「この世は舞台、人はみな役者」という言葉が好きです。 悲劇、喜劇、歴史劇など多様な演劇を才能豊かに描いたシェイクスピアを思うと、この世に起こるあらゆる悲しいことや辛いことも、自分がその舞台の役者だと思って楽しく演じてみようという前向きな気持ちになれるので、座右の銘としています。
─ 取材にご対応頂き、誠にありがとうございました。お仕事がお忙しいとは存じますが、当倶楽部には、多彩な先輩・後輩がたくさん加入されていらっしゃいますので、各種のイベントに参加して、いろいろなお話しをして、俱楽部ライフを楽しんでくださいね。

