2024年7月 前野 隆司さん
(Well-being と幸福学の第一人者、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
自我作古
─ 前野先生の元々のご専門は機械工学と伺っています。幸福学について興味を持ち始めたきっかけを教えていただけますでしょうか? そして、本格的に幸せについて研究し始めたのはいつ頃でしょうか?
前野さん: 機械工学の中でもロボット工学とヒューマンマシンインターフェースの研究をしていました。人と接する機械に対して、人がどう感じているかも追求する研究です。人が機械を触ってみた時にどう感じているか、快適なのか、心地良いか、アンケートで答えていただきます。機械工学と心理学をいずれも使って行う研究をしていました。2008年にシステムデザイン・マネジメント研究科に移りまして、その頃から本格的に幸せについての研究を始めました。システムデザイン・マネジメント研究科は社会人が学生の過半数という大学院で、文系理系の壁を超えることを目指しています。文系の学生もここで学ばれるので、全員ロボット工学とヒューマンマシンインターフェースを研究したいわけではないため、心理学に基づいて、例えば、職場で人々が幸せに働いているかのアンケートを取れば、職場の幸せの研究ができますよね。したがって、研究手法は変えていなくて、対象を機械からサービスや職場などに変えたというだけですね。
─ 前野先生は2種類の幸せ、長続きする幸せと長続きしない幸せが存在しており、「地位財」によって得た幸せは長続きせず、「非地位財」によって得た幸せは長続きするとおっしゃっています。なぜそうなのか具体的に教えていただけますでしょうか?
前野さん: これは、イギリスの心理学者ネトル先生が言っていることです。「地位財」というのは、他人と比較できる「財」のことを指します。例えば、お金やモノや社会的地位などがあります。定量的に他人と比較できる財のことです。これらを得たら他人に勝って嬉しいと感じますが、その幸せは長続きしないように人間はできているのです。何かに勝った時にドーパミンというホルモンが分泌されます。それが長続きしないようにできています。一方で、「非地位財」というのは、他人と比較するのではなく、健康や愛などの幸せにつながる財のことを指します。他人との比較によらない「財」ですから「非地位財」と言います。それによって得た幸せは長続きすることが知られています。
─ 前野先生の研究によりますと、幸せな状態になるために、以下の4つの因子が必要です。「やってみよう」因子、「ありがとう」因子、「なんとかなる」因子、「ありのままに」因子。なぜこの4因子が揃えば人間は幸せになれるのでしょうか? そして、この4因子はお互いにどんな風に関連し合うのかについて教えていただけますでしょうか?
前野さん: まず、この4つの因子は先ほどの「非地位財」の話の続きになります。「非地位財」によって得た幸せは長続きします。「非地位財」にはどんなものが含まれるかと言いますと、身体的なもの、精神的なもの、社会的なものがあります。つまり、健康も社会的安全な環境も非地位財です。この研究は、精神的な幸せ、つまり、心の幸せについて因子分析をした結果、4つの因子が得られたということですね。4つの因子を満たしている人は幸せで、満たしていない人は不幸せな傾向があります。
「やってみよう」因子とは、やり甲斐、主体性、夢や目標を持つ、視野が大きいなどに関連する因子。「ありがとう」因子とは、感謝、つながり、利他、気配りなど人との関係性に関連する因子。「なんとかなる」因子とは、前向きで楽観的なことに関連する因子。「ありのままに」因子とは、他人と自分を比べすぎるのではなく、自分は自分という個性、本来の自分らしさを持っていると幸せになるという因子。以上の4つの因子を持っている人は幸せです。
4つの因子がお互いにどう関連し合っているかと言いますと、因子分析というのは、独立した4つを求めるというものなので、1つでも欠けるとやや不幸せですし、4つともに低い人はとても不幸せです。一方、4つともに持っている人は幸せです。また、4因子の重要度に差はありません。
─ 日本社会では「出る杭は打たれる」という言い方があります。自己主張を控えめにし、周りの人々と協調して同じ行動を取る習慣があります。前野先生が提唱される4つ目の「ありのままに」因子と矛盾するのではないかと思います。人間は一人一人違います。もっと自分のことを好きになって、自分らしさを出せば、もっと多様性溢れる寛容な社会になるのではないかと感じていますが、前野先生はいかがお考えでしょうか?
前野さん: 日本だけでなく、東アジアでは「出る杭は打たれる」傾向がある社会だと言われています。集団主義的な社会と言いまして、個人の個性を発揮するよりも社会の秩序を守ることを重視する社会なのです。「出る杭は打たれる」というのは、社会でみんながルールを決めている時に、それを乱すような人は良くないという風に考えれば、集団を大切にする社会の良い面でもあると思います。悪い面というのは、新しいことをしてみたり、新しいやり方を試してみたりするなど、チャレンジして出る杭になろうとする人たちを打つことによって、新しいチャレンジを阻害してしまうことにつながってしまうという点です。
幸せの4つの因子に照らし合わせてみますと、「ありのままに」因子はまさに個性を発揮して、自分らしく生きる人たちは幸せという意味ですから、まさに「出る杭になろう」ですね。独立自尊を思い出しますね。独立というのは、「なんとかなる」因子でもあります。自尊というのは、「やってみよう」因子です。したがって、「出る杭は打たれる」と「個性を発揮する」とは矛盾することではなく、「出る杭は打たれる」という格言を適切に使うべきです。つまり、出る杭を打つべき時はあるかもしれません。例えば、皆でテストしている時に一人だけカンニングしたらダメですね。先程も申し上げたように、社内でイノベーションを起こすとか、新しいチャレンジをするとか、他人と違うやり方を恐れないとか、日本をはじめとするアジアの国々がそれをもっと推奨した方が幸せになれるということこそが、「ありのままに」因子ないしは「出る杭になろう」です。
─ 良く男性脳と女性脳が違うとお聞きしていますが、男性と女性それぞれどんな時に幸せを感じていますでしょうか? そして、男女のパートナーシップをより幸せなものにするためにはどうしたら良いかを教えていただけますでしょうか?
前野さん: 男性と女性が違うということを強調する時代と男性と女性が一緒だということを強調する時代がありますが、今はどちらかというと、差別をなくしてそれほど違わないということを強調する社会だと思います。実際に男性と女性の違いを調べたら、男性としては少し残念ですが、凶暴さと言いますか、社会において暴力に訴える割合が男性の方が高いという研究結果があります。一方、女性は協調性が高いです。ですから、男性脳と女性脳の違いは、自分勝手になりやすいか、協調性が高いかという意味では違いがあるということです。しかし、その他については、男性は数学が得意だとか、女性は国語が得意だとか、いろいろなことが言われがちですが、意外とそんなに差はありません。
したがって、「ありがとう」因子に、つながりや協調性や利他心や感謝することが幸せだという因子がありましたが、先程男性は暴力を振るいやすく、女性は協調性を発揮しやすいと言ったように、女性は2つ目の因子を満たしやすいようにできていると言えそうですね。男性も威張ったり、人に圧力をかけたりするよりも、調和的になると幸せになります。一方、女性はたくさんお話をして、井戸端会議でたくさんコミュニケーションをとった方が良いです。男性ももっと女性の井戸端会議に参加して、雑談した方が幸せになるという風に言えると思います。
─ 子育てについて伺いたいと思います。父親と母親はそれぞれどんな風に子供に関われば、子供が大きくなった時に幸せを感じやすい大人になるとお考えでしょうか?
前野さん: 先程申し上げたように男性と女性は本来そんなに違いはないですね。日本や他のアジアの国々では男性は強く、女性は優しく、男性は働いて、女性は家にいるといった古い慣習がまだ残っています。やはり男女は平等でお互いに尊重し合う関係性がまず大事だと思います。その上で、男性と女性の片方が怒ったら、もう片方が寛大になるとか、片方が細かいことを気にしたら、もう片方が大きく世界を見るとか、片方が大きすぎて抽象的になったら、もう片方が具体的にするとか、夫婦でよく話し合って、お互いの性格の違いをうまく活かすべきですね。違うから相手のやり方が間違っていると考えるのではなく、違うから子育てに良いのだという風にチームとして力を合わせて教育をしていくことが大切だと思います。
─ 一人っ子の家庭と二人以上の子供がいる家庭の子供の育て方の違いについて、前野先生はどのように考えていらっしゃいますか?
前野さん: 二人以上の子供がいると、社会性が育ちやすいと言われています。幸せの研究結果から論じるなら、二人以上の子供がいた方が良いと思います。要するに、コミュニケーションを取るには良いですね。では、一人っ子の家庭はどうすれば良いかと言いますと、友だちをつくっていろいろな話をしたり、親戚の子供とコミュニケーションを取ったりすれば良いと思います。結局のところ、一人っ子が良いのか、二人以上いた方が良いのか、子供がいない方が良いのかではなく、すべての人はコミュニケーションをとって、やり甲斐を感じて、4つの因子を満たすように子育てしていけば幸せに生きていけるということですね。
─ 様々なソーシャルメディアが私たち現代人の生活にとって欠かせない一部になっていると思います。簡単にたくさんの情報が入手できる反面、多すぎる情報や他人との比較で生じた劣等感や不安な気持ちを感じている人々も多いのではないかと思います。どうすれば外部の情報に影響されないで、自分の心の軸をしっかり持って、日々幸せを感じながら暮らせばよろしいでしょうか?
前野さん: 外部の情報を得すぎたり、他人と比べすぎたりすると、不安になるということを意識して、土日はSNSを見ないとか、仕事が終わったらメールを見ないとか、きちんとオンオフを切り替えることですね。一番大事なことは、他人と比べない強い自分をつくることだと思います。独立自尊とはこのことであり、自分は独立していると自覚したり、自分を尊敬・尊重するということです。自信を持てる専門性や特技を持っていると、他のことで負けても気にならないのではないでしょうか? 自信を持つ分野がなければ、他人のことを羨ましく思ってしまいます。これこそが福澤先生が目指す世界だと思いますね。
したがって、「ありのままに」因子を高めて、いろいろな人の活躍を羨ましいと思うのではなく素晴らしいなと思えることが大切ですね。
─ 現代社会は物事の変化のスピードがとても速く、私たちは人間関係、仕事、健康、育児など様々なストレスに晒されやすい環境にいて、悩みや心配事も多いのではないかと思います。一方で、どのぐらい幸せを感じるかを決めるのは脳内で分泌されるオキシトシンやセロトニン等の神経伝達物質の量です。心と体を整えて幸せに満ちた日々を過ごすためには何を心掛ければ良いかを教えていただけますでしょうか?
前野さん: 確かにストレスが多いと、不幸せに感じます。
1つ目はリラックスしてストレスから離れることですね。公園を散歩するだけでも良いですし、睡眠をたっぷり取るのも良いでしょう。ケーキを食べたりお酒を飲んだりするのも良いですし、三田倶楽部でわいわいするのも良いです。
2つ目はストレスの原因を突き止めて、1つずつ潰していくことですね。人の悩みの多くは、人間関係とか、仕事上の困難とか、そのほか、過去や未来の様々な事柄です。いろいろな人と話し合うことが大切ですね。慶應の言葉で言いますと、社中協力です。いろいろな人が協力すれば、必ず問題を解決できますから。10ぐらい小さい悩みが積み重なるとストレスになります。たくさんの人と話し合って、1つ1つ悩みを解決したら、ストレスがなくなりますね。本当にストレスなく働いている人たちもいますので、そういう風になることを目指していきましょう。
─ ちなみに、前野先生は普段ストレスとどんな風に付き合っていらっしゃいますでしょうか?
前野さん: 私はストレスがないですね。私の場合は、将来のことへの不安や過去の失敗を悔やんだりしないので、ストレスを感じていません。マインドフルネスというわけではなく、過去のことも未来のこともよく考えます。大変なこともありますが、あれを成し遂げたらすごいなと思えば面白いですよね。また、失敗したから成長したな、失敗した時にあの人に助けてもらって良かったなと思うと、全部オキシトシンとセロトニンが出るわけです。ですから、気の持ちようですね。いかにストレスの元になるものをポジティブに転換するかということをコツコツやればストレスゼロになりますね。1つ1つのストレスは大したことがありません。小さいストレスが10も溜まると、なんとなくもやっとしてストレスになるのです。1つ1つ小さいストレスを摘み取ると、すっきり爽やかになるはずです。これはスキルですから、誰でも身につけられます。
─ 今から実践できる幸せになるための小さな習慣を教えていただけますでしょうか?
前野さん: 1つ目は元気な声大きな声で相手の目を見て挨拶すること。「おはようございます」と爽やかに挨拶するだけで幸せになりますよ。2つ目は姿勢を良くすること。姿勢を良くするだけで幸福度は上がります。3つ目は口角を上げてにこっとするだけで幸せになります。4つ目はコミュニケーションです。人との交流を少しでも増やすこと。1つ1つはとても簡単です。
─ 前野先生は58歳から書道を始められ、90歳になったら書道家になりたいとおっしゃっています。前野先生にとって書道をしている時間はどんな時間でしょうか? そして、私たちは定年後の人生をどんな風に設計したら良いかについてアドバイスをいただけますでしょうか?
前野さん: 書道している時間は私にとってマインドフルネスの時間です。書道というのは、リラックスの時間でもありますし、書道は「道」ですから、華道も茶道も武士道も合気道も柔道も、あらゆる東洋のアートとスポーツは人間の心と体を鍛錬する道だと思います。そういう意味において、書道は私にとってより幸せになっていく道だと思って熱中しています。1回の練習時間は大体3時間です。週に1回以上は練習しています。時々電車の中で書いているところをイメージしています。手を動かさなくてもできます。丹田というところに意識を集中してそこから体が動くことを考えましょうと書道の先生がおっしゃっています。気功や合気道などと同じ体の使い方です。
人生100年時代ですから、書道でも合気道でも良いですし、ボランティアなど利他的な人は幸せですから、趣味をぜひ2つ、3つ、4つつくることをお勧めします。私の場合は、書道と写真と高齢者のための幸せになる活動をしていますね。定年前からぜひ考えたほうが良いと思います。しかも、1つではなく、複数あった方が良いでしょう。例えば、書道だけですと、手が震えるようになったらできませんよね。庭いじりとか、ボランティアとか、孫の世代と関わりを持つとか、わくわくして継続的にできることを3つ、4つぐらい考えておくことです。なるべく早く、できれば40〜50代ぐらいから始めて、100歳までの楽しみをたくさんつくっておくことをお勧めします。手や足など体の違うパーツを動かす趣味が良いですね。そして、スポーツ系とボランティア系と芸術系など違うタイプを組み合わせると良さそうです。
─ 日進月歩のAI技術が私たちの生活に入り込むことによって、人々の生活は便利になりましたが、私たちの幸福度はどんな風に変化していくと考えていらっしゃいますか?
前野さん: 過去の経験から言いますと、新しい科学技術は人を幸せにも不幸せにもするのです。例えば、自動車によって便利になりましたが、自動車はCO2を排出しますし、事故も起こします。SNSも便利な面がありますし、他人と比べてしまうというマイナスな面もあります。AIもきっとそうだと思います。仕事が奪われるという悪い面もあれば、仕事が楽になるという良い面もあります。いかに幸せに使うかを意識することが重要です。技術は幸せと独立していますので、幸せなAIの使い方をよく考えれば幸せになりますし、AIに使われて仕事が奪われると不幸せになりますね。いかに幸せなAIの使い方をするかについて皆さんのお仕事や趣味などでよく考えてみると、答えが出てくると思います。
─ 若い世代へのメッセージをお願いいたします。私たちが暮らしている世界は競争がますます激しくなっており、不確実性も増しています。満足感と幸福感を感じられ、自分の可能性と才能を信じ続け、失敗を恐れずに、好奇心を持ち続けていろいろなことに挑戦していくために若者たちはどうしたら良いかを教えていただけますでしょうか?
前野さん: 幸せな心の状態をつくることができれば大丈夫だと思います。幸せな人は「やってみよう」、「ありがとう」、「なんとかなる」、「ありのままに」の力が増していきます。
1つ目は、経験した失敗は全部成長につながりますので、失敗する度に成長したなと思えるかどうかですね。心の持ちようです。2つ目は、よく人と相談することです。1人で悩んでいる人は心の病気になってしまいます。いろいろな人に相談して、大丈夫だよ、次またチャレンジすれば良いよなどと言ってもらえます。失敗の中に必ずヒントが隠されています。失敗は成功の母ですから、ポジティブに「なんとかなる」と考えることと、「ありがとう」因子の人とつながることなど、4つの因子を満たしていれば幸せになります。幸せな状態でいると、くよくよしないので、再び前へ向かっていけるはずです。
─ もし失敗して落ち込んだら、前野先生が提唱されている4つの因子を自分に当てはめてみて、欠けていると思うところを重点的に補えばよろしいでしょうか?
前野さん: 幸せじゃないなと思う時にやるのではなく、日頃から意識してやると良いと思います。健康と同じです。太ったなと思ったら野菜をいっぱい食べるのではなく、日頃から健康維持を心掛けることが大切ですね。不幸せな状態になった時に対策を考えるよりも、幸せな時により幸せになるにはどうしたら良いかを考えると良いですね。そうすると、心のレジリエンス(弾力性、回復力)が高まります。
─ 先程前野先生は50代から老後を考えて、3つ〜4つ異なる分野の趣味をつくっておくと良いですよとおっしゃいました。定年を迎えてからいろいろプランを立てはじめるのはもう遅いです。では、幸せに関しても同じことが言えるのでしょうか?
前野さん: 健康も幸せもお金も同じです。広い視野を持って、100歳まで生きるとしたら、どう幸せで健康的で経済的にも豊かな状態を保つかについて早めに早めに考えておくことが大切です。
─ 前野先生の夢を教えていただけますでしょうか?(お仕事の夢とプライベートの夢)
前野さん: 私の夢は世界平和です。世界中の全ての人々がストレスや悩みにとらわれず、生まれてきて良かったなと思える社会を実現することです。80億人全員やり甲斐があって、「ありがとう」があって、「なんとかなる」があって、「ありのままに」があって、80億通りの個性がある社会ですね。これを実現させるのは私の仕事上の夢です。私は研究者として、できる限りのことをして、少しずつですが私が描く理想に近づくように尽力していきたいと思っています。慶應義塾の志として、全社会の先導者になろう、つまり、世の中が良い社会になることを目指そう、ということがありますが、私もその一部に全力で取り組みたいというのが夢です。
おかげさまで、私の大学の教え子は200人もいます。200人も頑張れば、私1人で頑張るより相当インパクトが大きいですね。200人がまた200人ずつを育てれば、4万人になります。このような、先導者の再生産こそが、大学の素晴らしいところだと思います。
プライベートの夢については、私は今もう幸せなので、あまり思いつかないのですが、妻も幸せの研究者なので、世界的に有名なWell-beingと幸せの研究者たちに会いに行く旅をしたいですね。それぞれの場所で講演したり、話し合ったりしたいです。良い社会をつくる動きを加速させていきたいです。私は今、仕事もプライベートも幸せですから、一番幸せな状態ですね。こんなふうに、みんなが幸せな世界をつくりたいですよね。
※聞き手はThe Voice 編集長シャオシャオ
※ゲストの肩書きや記事の内容は全て取材当時(2024年6月)のものである。
編集後記
他人との比較によらない「財」のことを「非地位財」と言います。健康や愛など幸せのことを指します。それによって得た幸せは長続きするようにできていると前野教授はおっしゃっています。
私たちは毎日の生活や仕事で「やってみよう」因子(夢や目標を持つ)、「ありがとう」因子(人とのつながりを大事にする)、「なんとかなる」因子(楽観的で利他的な心を育む)、「ありのままに」因子(自分らしさを発揮する)を満たすように心掛けたいと思います。
夫婦の性格の違いをうまく活かした子育てが幸せな子供を育てる秘訣だと前野教授はおっしゃっています。育児における夫婦のコミュニケーションの大切さを改めて痛感しました。円滑なコミュニケーションはストレスを軽減することもできますし、つながりや一体感を感じることもできますので、毎日の生活の中で家族と友人と同僚と地域の人たちともっとコミュニケーションを取って、幸せ度をアップしたいですね。
人生は100年時代ですから、気持ちがわくわくする趣味を40代、50代のうちから3つ、4つつくっておきたいです。ボランティア系でも良いですし、芸術系や音楽系でも良いですし、スポーツ系でも良いですし、100歳まで好奇心としなやかな気持ちを持ち続けていきたいと思います。
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