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2023年10月 山縣 亮太さん
〈陸上100m日本記録保持者(9秒95、2021年)、セイコー社員アスリート、2016年リオデジャネイロ五輪の男子4×100mリレー銀メダリスト(37秒60、第一走者)〉

9秒95を超えて

山縣亮太選手 
左下:山縣選手のサイン

 山縣さんの大学生時代はどのように過ごしましたか? なぜ慶應義塾のSFCを選ばれたのでしょうか?

山縣さん: 大学選びについてですが、大学ではまず陸上をやりたいと思っていました。もちろん勉強もしっかりやっていきたいので、競技環境とキャンパスの雰囲気を中心に考えました。そして、慶應義塾に勧誘に来ていただいた関係で、僕も興味を持っていたので、一回見に行こうということで、実際に練習に参加させてもらいました。学生たちが主体になって、練習に積極的に取り組んでいたのを見て、とても好印象を受けました。元々僕は高校時代から自分でメニューを考えていたので、シンパシーを感じていました。加えて、グランドもとても綺麗なので、ここで陸上をやりたいと心に決めました。

 プロのアスリートを目指すきっかけとプロのアスリートとしての日常の過ごし方を教えていただけますか?

山縣さん: 大学2年生の時のロンドンオリンピックに出場することができて、僕にとってこれはシニアとして初めての国際大会でした。当時の日本記録は10秒00だったので、9秒台の選手がいなくて、それに迫る記録を20歳の時に出すことができて、ぜひ自分が9秒台を出して、プロの陸上選手としてやっていきたいという思いがこのあたりから強くなったと思います。

プロのアスリートとしての過ごし方ですが、僕ら短距離選手の練習時間は本当に短くて、長く練習できないんですよ。1本1本の集中力と出力が大きいので、長くても3時間から3時間半ぐらいです。その時間の中でかなり集中してやっています。また、練習が終わったあとの振り返りの時間や食事、明日の練習のことを考える時間も大事な要素ですね。

 日々の厳しいトレーニングと向き合う原動力、そして、常に今より良い記録を目指す原動力は何でしょうか?

山縣さん: 20歳ぐらいの頃は、走れば走るほど記録が出ていた時期があって、純粋に競技が楽しいなという感じでした。20代半ばから30代になるにつれて、けがが増えてきて、瞬間的にモチベーションが下がることがあるのですが、けがをすることで、今までの技術やトレーニングを見直すきっかけになります。今まで知らなかった自分の体の使い方とか、新しい発見のようなものがまだまだ出てくる、10秒00に何回も迫っても、どんどん走りがまた変わっていくというか、全然僕は100メートルのことを知らないじゃんみたいなことが何度もありました。そこに対して面白いと思えるようになったと思います。

また、今年の記録はまだ10秒29しか出せていないし、2024年パリ五輪の参加標準記録は10秒00なので、そこに向けてある意味今は苦しい時期を過ごしています。その中でも日々発見があったり、チームのサポートのありがたみを感じたりしています。タイムにはまだ届いていませんが、着実に変化してきている自分の技術に対して、体の反応が返ってくるのは面白いと思います。

 山縣選手は自由な環境で自分で考えて練習を積んでいるとお聞きしていますが、それはご自身の哲学のようなものがありますでしょうか?

山縣さん: 今はコーチをつけていますが、自分の考えを持つということは非常に大事なポイントです。どうやったら足が速くなるのか、技術的なことだったり、トレーニングの組み方だったり、食事の摂り方だったり、当てずっぽうとは言いませんが、自分なりの理屈を積み重ねて、コーチやトレーナーにぶつけています。僕は「ぶつける」という作業を非常に大事にしています。したがって、哲学というほどのものではないですが、自分の考えを押し通したいというわけでもなく、きちんとチームメンバーにぶつけるということを意識しています。

 レースに出場される際に、入場して、選手紹介を聞いて、スターティングブロックの前に立つ時にいつも何を考えていますか?

例えば、試合で勝った自分の姿をイメージしたり、自己ベストを更新した自分をイメージしたりしていますでしょうか?

山縣さん: そういうイメージは全くしませんね。とにかく目の前のレースでやること、自分のレースプランをレース毎に持つようにしています。意識すべきポイント、技術的なところですけど、大体3つぐらい持っています。頭の中でレースのことを想像して、それをずっと繰り返しながらスタートラインに立っています。

例えば、スタートがキーポイントだと思っている時は、セットの時にお尻を上げるのではなく、お腹から上げることを意識しています。また、目線をどこに向けるのか、下なのか、前なのか。そして、スタートから飛び出して、何メートルまで頭を下げたら良いのか、何メートルは歩数ですけど、20歩とかですね。そしたら頭を少しずつ上げていく、そうすると、大体カメラマンがいるので、レンズに向かって、頭の中では自分が先頭を走っているイメージを持っています。そういう意味では、勝つレースを想像していますね。

山縣亮太選手

 どのレーンに立っても、真ん中のレーンでも、端のレーンでも、気持ちは同じですか?

山縣さん: 気持ちは結構レーンによって変わります。3レーンと8レーンとでは、見える景色が当然違いますし、隣の選手がいるかどうかによってもプレッシャーの感じ方が違います。もしレースが8レーンだったら、8レーンの後ろに立って、真ん前にあるものを確認します。例えば、カメラレンズ、赤い服を着た報道の人、目立つ服を着た応援席の人、横断幕などの目印になるものを見つけて、そこに向かって一直線に走っていきます。

  オリンピックのような大会に出場する際に気持ちと体が緊張していることが多いと思いますが、体をリラックスさせつつ集中力を高めて、普段練習時のパフォーマンスを発揮するためにはどうしたら良いでしょうか?

山縣さんならではの秘訣または工夫していることはありますか?

山縣さん: まず、緊張についての考え方ですけど、緊張は必ずするものという前提でスタートラインに立ちます。その上で、緊張したら起こる体の現象を事前に考えておきます。呼吸が浅くなり、筋肉が硬直します。同時に、頭の中の思考領域がどんどん狭くなるので、僕は絶対に3つに絞りますね。とにかく課題をシンプルにすることですね。その上で、僕はできるだけそれを考えながら走るようにしています。

心持ちとしては、どうせ100点満点のレースはできないと思ってスタートラインに立ちます。でも、90点のレースでも勝ってやるというつもりで日頃から練習を積んで、しっかり準備をしてからレースに臨むというのが緊張している状況の中でもうまく自分のパフォーマンスを発揮するポイントかなと思います。

  日本全国ひいては世界中の注目を浴びながら、プレッシャーに晒されながら、日本記録保持者として心と体の状態を整えて、さらに記録を伸ばしていくために普段から心がけていることは何でしょうか?

山縣さん: 先ほど話しました練習についての考え方や向き合い方は自分が普段からできることだと思っています。基本的にはレースで100%の力を出し切ろうとは考えていなくて、90%出せれば御の字というスタンスで日々練習しています。90%でも勝てるぐらいの地力をつけるということですね。実際には難しいですが、ライバルも多いですし、世界もそんなに甘くないので、少なくともこういうふうに準備しておけば、大コケすることはないと思います。そして、自分を過大評価しないということですね。

  大きな大会で勝利したり、自己ベストを更新したり、または新しい記録を打ち立てたりする時は、とても大きな自信になると思いますが、しばらくの間成績が伸び悩む時は、どのように調整していますでしょうか?

例えば、親しい人に相談して、ライバルのトレーニングのやり方を見て、良いところを取り入れたりしますか? それとも、ご自身で体の状態を見極めて、トレーニング方法を一人で考え直したりしますか?

山縣さん: 僕の中でスランプとはどういう状況かを説明します。自分の考え方と自分なりの理屈を積み上げてきて、コーチと一緒に練習して、それをレースにぶつけていくというのが基本スタンスです。それでも何をやってもうまくいかない時はスランプだと思っています。

これはもう自分の考え方や理屈に頼っていると、抜け出せない天井にぶち当たっているような状況かなと思います。僕の場合は、コーチであったり、他人の練習を見たり、全くやっていなかったことをやってみようと意識しています。そういう意味では、ライバルのレースや練習、走り方などは見るようにしています。

  先程お話されました山縣さんの今年の自己ベストは10秒29です。一方、パリ五輪の出場の目安は10秒00だそうです。陸上選手にとって、昨年の調子が良い、今年の調子が横ばい、翌年の調子がまた良くなるというように変動するものでしょうか?

山縣さん: 大体そうなると思いますね。調子が良い時は、次何をやったら良いのか分からなくなります。さらに上に行きたいと思っているわけですが、何をどう変えたら良いのかよく分からなくて、もしかして、何も変える必要がないかもしれないです。でもやっぱり、何かを変えたがるんですよね、どうしても。次に変えるとしたら、どのテクニックを変えようかなと考えた時に、余計なことをしてダメになるようなこともあるし、けがする場合も多いです。

調子が良い時は、体がフル稼働して、ものすごい負荷がかかっているんですね。ただ痛みとしてまだ顕在化していないだけで、局所的にハムストリング、膝やアキレス腱、関節にストレスがかかっています。本当は直さないといけない動作のエラーが出ているのに、痛みという症状が出ていないため、気付けないんです。どんどん練習も試合も頑張って、負荷をあげ続けて、ハムストリングや膝に痛みが出てはじめて、こういう走り方やテクニックはダメだった、あるいはこの筋トレのやり方が間違っていることにやっと気づくわけです。

  症状が出てはじめて気付くわけですね。調子が良い時に色々と変えたがるとお話されましたが、調子が上向かない時に変えたがるのかなと素人ながら思いますが。

山縣さん: そうですね。僕の場合はどうけがを予防するかということを考えなくてはいけないです。未然にけがを防ぐために、今は走れているけれども、まだ顕在化していないエラーがどこに潜んでいるかに関して、コーチと相談しながら、例えば、少しでも膝にストレスがかからない走り方を追求しようとか、アキレス腱のことを大事にしようとかですね。でも、なかなかうまくいかないですけどね、笑。ただ、変えたせいで、今まで良かった部分を失うこともあります。また、変えて、けがはないけれども、調子がただ下がるようなこともあります。ですので、想定通りにはなかなかいかないです。

山縣さんと編集長・シャオシャオ

  国際大会に出場することと国内大会に出場することと、気持ちの面でどんな違いがありますか? 国際大会に出ると、ジャマイカなどの強豪選手が隣のレーンで走ることがしばしばありますので、その場合は、動きが少し固まったり、普段の自分でなくなったりすることはありますでしょうか? それとも、気持ちが全く動じず、レースに集中してそのプロセスを楽しみ、普段どおりに走っているのでしょうか?

山縣さん: 状況によります。どれだけ普段から準備できているかによりますね。正直なところ、気になる時は気になるし、気にならない時は気にならないし、やはり自分の確固たるレースみたいなもの、隣に誰がいようが、どんな走りをしようが、俺はこんなレースをするんだというのが決まっていて、自分のレースのイメージがしっかりできている時は、ライバルのことは全然気になりません。

けがのことや準備のことなど、不十分なままレースに臨むと、結構ペースを乱されることがありますね。海外の選手は背も高いし、筋肉もすごいし、迫力がすごいです。見るからに足が速そうです。そこは国内大会と違うところですね。実際には、意外と速そうに見えても速くなかったりしますし、速くなさそうに見えてもめちゃくちゃ速かったりすることがよくあります。ですので、結構事前の雰囲気に圧倒されることがありますね。

  私たちがテレビで観戦する時に、選手同士の交流はほとんど映っていないですが、実際のところ、交流することはありますか?

山縣さん: 交流はありますよ。国際大会の時に、お互いの国のバッチを交換したり、握手して健闘をたたえ合うようなことはよくあります。

  山縣さん個人的に海外の選手の中で誰と仲が良いですか?

山縣さん: 仲が良いと言われると難しいですが、アジア記録保持者である中国の蘇炳添選手とは2012年のロンドンオリンピックからずっと一緒に出ていて、彼は世界陸上で決勝に進出したり、国際大会で決勝に進出したりしているすごいスプリンターです。国際大会で一緒になった時に、同じアジアの選手ということもあり、会ったら、英語で話しますね。仲が良いと言えるかどうかはわかりませんが、仲が良い方ですね、笑。

  山縣さんのInstagramを拝見しています。お料理を作るのが大好きですね。特にお魚料理がお得意で、色々な包丁をいっぱい持っていますね。

家でお料理を作るのは純粋に調理が好きだからですか? それとも栄養管理する必要があるので、自炊するようになったのでしょうか?

山縣さん: 両方ありますね。元々僕は料理が好きで、幼い頃によく母親のキッチンに勝手に入って、怒られて、やらせてくれないから、どんどん自分でやりたい気持ちが増して、するようになりましたね。魚の調理に関しては、僕は自分でさばきたいので、スーパーで売っている切り身には興味がなくて、わざわざ一匹丸々買います。

また、自炊すると、栄養管理がしやすくなります。何をどれぐらい入れるかを自分で簡単に管理できます。体重コントロールと体作りにとって自炊は極めて大事ですね。今はほぼ自炊しています。週に一回ぐらい外食します。今日のお昼も自炊弁当を持参してきました、笑。

  魚以外にお好きな食べ物は何でしょうか?

山縣さん: 肉です。魚以上に肉が好きですよ、笑。僕は昼のメニューが決まっていて、鶏胸肉150グラムを食べます。皮を剥がして食べますね。夜は豚肉150〜200グラムを食べます。牛肉はご褒美感覚で、週に一回食べます。

  牛肉より豚肉を積極的に食べるのはなぜでしょうか?

山縣さん: 豚肉はビタミンEが豊富で、疲労回復にはとても有効ですし、部位によっては脂質のコントロールもしやすいです。豚のヒレとロースは一番よく食べます。

  朝ごはんはいつも何を作っていますか?

山縣さん: 朝ごはんはいつもお魚を食べます。近くのスーパーにはいわししか売っていないので、いわしを食べています。大体梅煮にして食べますね。骨まで食べられるぐらい煮詰めて、丸ごと食べます。毎朝同じもの食べると飽きますので、時々調理方法を変えて焼いたりして食べています。

  苦手な食材はありますか?

山縣さん: パクチーですね。

  釣りにも良く行っていますね。

山縣さん: そうですね、船釣りは時々行きます。月に一回ぐらいです。朝早いので、8時間ぐらい船の上にいるので、波もありますし、結構疲れます。休みの日に行くようにしていますけれども、疲れますので、休みじゃなくなります、笑。

  Instagramの写真を見ますと、スズキなど良い魚を釣れていますね。自宅でそれを刺身にして食べていますか?

山縣さん: そうですね、食べるために釣りをしています。クーラーボックスに魚を入れて、車で家まで運んでいます。とても大変ですよ、笑。大きい魚になると、処理がかなり大変です。ウロコやぬめり、内臓など全部自分で処理しています。

  最近ピアノの練習を始めましたね。

山縣さん: はい、コロナ禍でおうち時間が長くなり、やりたいことを探している時に、ピアノにトライしてみたいなと思って、2020年ぐらいから挑戦しています。

  ご趣味を選ぶ際の基準はありますか? 記録を伸ばすのに役立ちそうだから、それとも興味の赴くままでしょうか?

山縣さん: 興味の赴くままですね! 笑。全然陸上のことを考えていないです。純粋に好きで始めました。

  泳いだりはしていませんか?

山縣さん: 僕は全然泳げないですよ、笑。泳ぐのが嫌ではないですけど、本当に泳げなくて、海水浴は浮力があるので、ぷかぷか浮くぐらいなら良いですが、沖に行くと怖いので、手前のところでぷかぷかするのが好きですね。今回の合宿は北海道に行ってきました。足や腰にストレスなくトレーニングするために、プールトレーニングがありました。クロールや平泳など泳ぎ方から教えてもらいました。最初はバタ足からやって、全然できなくて、お尻から沈んでしまうんです。水泳はカロリー消費が大きいので、けがしている時は、走らなくても、運動量を確保できます。膝や腰などにストレスをかけずに、全身をトレーニングするためにやっています。僕は泳げなくても楽しめていますよ。

山縣選手(右から2人目)と取材メンバー

  もしタイムマシンに乗って子どもの頃に戻れるとしたら、今と同じように陸上短距離選手になる道を選びますでしょうか? それとも、他にやりたいことがありますか?

山縣さん: これは難しいですね。僕は陸上に向いていると思っているので、スポーツをするなら、陸上をやりたいと思います。野球もちょっとやってみたいですが、でも野球よりやっぱり陸上かなと思います。

それよりも、僕はピアノをやってみたいですね。吹奏楽などもやってみたいです。もし新しいチャレンジができるなら、その道に進んでみたいです。赤ちゃんの時に戻って、音楽をしっかりやってみたいですね、笑。

  山縣さんの夢や実現したいことを教えていただけますか(プロのアスリートとしての夢とプライベートの夢)

山縣さん: プロのアスリートとしての夢は、9秒83という燦然と輝くアジア記録があるのですが、そこにトライしたいです。僕は9秒95を出しましたが、追い風が2メートル吹いていたんですよ。僕の中で、風のアシストがあって出た記録という印象が拭えなくて、自分の実力で出したというところまで行きたいです。一回出して終わりというのも面白くないので、オリンピックの決勝や金メダルなどやりたいことがたくさんありますが、僕の中で一番大事なのは記録なので、そこに向けて頑張りたいですね。

プライベートの夢は、森の中に身を置きたいです、笑。森の中に小屋を建てて、そこに居たいですね。

  森というのは、どこの森ですか?

山縣さん: どこでもいいです。

  森の中で何をするんですか?

山縣さん: ログハウスを建てたいですね。人に建ててもらって、自分も少し手伝います。できたログハウスに住みたいです。

  住むとしたら、どちらがお好きですか? 暖かいところと涼しいところ?

山縣さん: 僕は寒いところが好きです。寒いところで暖かくするのが好きです。北海道が好きですね。日差しが強いところが苦手です。でも、海がきれいな沖縄も好きですけど。

  山縣さんは試合に参加するため、世界中いろいろなところに行っていると思いますが、カラッとした暑さと湿度が高い暑さとでは、パフォーマンスは変わりますか?

山縣さん: 変わりますね。疲労感が全然違います。湿度が高いと、汗のかく量も多いし、どっと疲れる感じがします。体が重くなりますね。

  そういう意味では、次の五輪開催地はパリなので、事前に現地に行って、気候に体を慣らす必要があるのですか? そのような準備は必要ですか?

山縣さん: それはあり得ますね。でも日本よりも湿度が高いところはあまりないのではないかなと思います。

  普段はどのようにリフレッシュしていますか?

山縣さん: 結構僕は一人で黙々と何かをするのが好きなんですよ。あまり買い物とかは行かないですね。体が疲れているというのもあります。

  一人で黙々とログハウスを建てるのがお好きですか?

山縣さん: 大好きです。やりたいですね。もし僕にそんな技術があれば。

  普段の睡眠時間は何時間ですか?

山縣さん: 毎晩12時半に就寝して、翌朝7時半に起床しますので、7時間寝ていますね。

  毎晩の睡眠時間は記録に影響を与えますか?

山縣さん: 与えますね。

  山縣さんは以前三田倶楽部にも来られたことがあるとお聞きしています。慶應義塾への思いを教えていただけますか?

山縣さん: 僕が大学選びの時から感じた慶應の学生たちの雰囲気がとても気に入っています。即ち、自分で考えて動くところが好きです。また、社会で活躍されているOBの方々を見ますと、慶應のマインドを強く感じます。しかも、仲間意識が強いところも良いなと思いますし、僕もよく助けられています。今僕が入っている会社(セイコー)も縁があって、チームのサポートに恵まれていますので、僕も独立自尊の気持ちを持って、競技者として自らの力で勝ち上がれるように今後もやって行かなければいけないです。これも慶應から教わったことだと思います。これからもがんばります。

  最後に、山縣さんのお好きな言葉を教えていただけますか?

山縣さん: 独立自尊です。

山縣選手のお好きな言葉

※聞き手はThe Voice 編集長シャオシャオ

※ゲストの肩書きや記事の内容は全て取材当時(2023年7月)のものである。

編集後記

山縣選手は理屈抜きに陸上のことが大好きで、情熱的に取り組んでいます。陸上競技への一途な思いがひしひしと伝わってきました。

また、お料理やピアノ、釣りなど多彩なご趣味を持っていて、好奇心旺盛で、手先がとても器用な一面を垣間見ることができました。趣味選びに関しても、純粋に好きだからやり始めたそうです。

山縣選手の飾り気がない、真摯かつ真っ直ぐなお人柄もよく伝わりました。

ストイックに自らを律し、情熱を追いかけて厳しい練習に取り組んでいます。トレーニングのメニュー、筋トレの組み方、栄養とお食事の摂り方について、全て自主的に考えて動くマインドは私たちも見習いたいと思います。

けがに対して、一概にマイナスな出来事だと思わず、自分の体の未知なる部分を知るきっかけだと捉え、体の使い方や新しい発見、技術の進化を楽しみつつ、前向きに捉える姿勢もとても印象深かったです。

今のアジア記録にトライしたい、超えたいとおっしゃった時の山縣選手の表情は生き生きとしていて、晴れやかでした。私たちも精一杯応援していきますし、見届けていきたいと思います!

緊張している中でもパフォーマンスを発揮する秘訣は、実力の9割を出しても勝てるように準備すると山縣選手はおっしゃいました。私たちにとって、普段の仕事や勉強においても同じことが言えるのではないでしょうか。

山縣選手は日本記録というすごい記録を持ちながら、お人柄はとても誠実で、謙虚で、親しみやすく、人を包み込む優しい笑顔も印象的でした。

今回のインタビューでは、魅力的で等身大の山縣選手を見ることができました。

山縣さん、どうもありがとうございました♪

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